2017-1-12
平成26年4月14日からの熊本地震では50名の方が亡くなりました。(関連死を除く)
この中で死者の大半を占めたのが、家屋倒壊による圧死です。特に今回は震度7の激震が2度も起こるなど、観測史上類を見ない地震で、被害が大きくなりました。
14日夜の前震で変形した家屋が16日未明の本震で倒壊した例が多く、熊本県益
城町では前震で7人、本震で12人が犠牲になるなど、2度の大きな揺れは多くの人の命を奪いました。
被害の調査が進むにつれ明らかになったのが、建築年代によって被害が大きく違っていたこと。
「現地で倒壊家屋や地盤の調査をした 古賀一八・福岡大教授(建築防災)によると、調べた範囲では倒壊家屋のほとんどが、建築基準法が改正された1981年以前の建物だった。
古賀教授は『旧基準の建物は大きな地震で倒れる可能性が高く、耐震補強の必要があると改めて感じた』と話す。2階部分の重さがかかる1階は.特に崩れやすいという。
さらに古賀教授は、土壌についても指摘する。『川に近く砂質で液状化しやすい。「盛り土」も目立つ軟弱な地盤。活断層も近い。建物の倒壊が起きやすい条件が重なってしまった』」
2016年5月1日 朝日新聞デジタルより~
建築基準法は、昭和25年の制定以来、段階的に厳しくなっています。その中でも1981年(昭和56年)は、建築基準法が大きく変わった年。耐力壁量が大きく変わり2000年(平成12年)の改正では基礎や軸組の接合部、耐力壁の配置についても明確な規定ができました。この違いが生死を分けたといっても過言ではないのです。
もちろん、旧耐震(昭和56年以前に建った)の建物でも丈夫な家は沢山あります。ですが、二間続きの和室があり南側に極端に壁が少ない、基礎に鉄筋が入っていない、~重い瓦屋根など、地震に関しては不利な構造が多いのも事実です。また後から2階を付け足したり、増築した時に適切な補強をしていないと、リスクは高くなります。
心配な方は是非、耐震診断を受けられることをお勧めします。
※新耐震基準(昭和56年改正)
震度5程度の中規模地震に対して、構造体にはほとんど損傷がなく、ごくまれにしか発生しない震度6強~7の大地震に対しては、人命被害が出るような建物の倒壊を防ぐことを目標としています。
福岡県西方沖地震の時もそうでしたが、発生からしばらくすると潮が引いたように関心が薄れていくのを感じます。でも、災害というものは、忘れたころにやって来るものです。
私たちに出来ることは、今あるお家をなるべく地震に強くすることです。人の命を守るはずの家が、逆に人の命を奪うようなことがあってはいけません。